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アレグロ・コン・フォーコ

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「スイカ割りってどう思います?」 農家さんに聞いた

調査・検証・実験 バカ

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7月到来。今年も夏がやってきた。

昆虫採集、水遊び、花火など、子どもにとっては楽しみが盛りだくさんの季節である。

 

そんな楽しみの一つに、スイカ割りってあるだろう。

 

農家さんが丹精込めて育てたスイカを鈍器で叩き割る残虐非道な遊びだ。

それだけならまだしも、割れたスイカは地面についたりして可食部が減ってしまう

普通に考えれば粗末以外の何物でもない。

 

あれって、農家さんはどう思ってるのだろう。

 

 祖父に話を聞いた

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私は今年の3月、大学を卒業して宮崎県の高千穂町へ移住した。

高千穂は神職祖父が住んでいる土地。一緒に生活することで神様のことを少しづつ勉強していこうという算段である。

大学でうっかりインド哲学なんかを齧ったばっかりに、特殊な道へ進むことを志してしまった。 

 

そんな祖父は74歳。今でこそ神職についているが、仕事として農業に携わっていた経験がある

スイカ割りについて聞いてみた。

 

くぼた「農家さんってスイカ割りどう思ってるんですかね」 

祖父「戦後、子供の頃は食べ物が無かったき、

叩き割った日にゃえらいことになったろうな」

 

くぼた「そうか、戦後…」

祖父「落ちた食べ物も拾って食べちょったよ

この辺りではスイカ割りは昭和60年ごろから始まったっちゃないかな。昭和50年頃はまだ無かった」

 

それは、そうだな。

教科書を通してしか知らないけれど、日本にも貧しい時代があったんだ。

モノの価値が今とは違うんだ。スイカ割りなんて考えられなかったんだろう。

 

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昔はスイカ泥棒がどこかしこにいたという。

スイカは盗んで食べたいほど貴重だったし、何より他に食べ物は無かった。

カルビーのポテチも、明治の果汁グミも、ロッテの紗々も昔は無かった。

 

くぼた「じゃあ、今の農家さんはスイカ割りどう思ってるんでしょう」

 祖父「さあ、今はスイカ割りに使っても喜ぶっちゃねぇと」

 

根拠不明の推論だった。現役でスイカを作っている方に話を聞く必要があるな。

本当に農家さんは喜んでいるのだろうか?

 

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 スイカ農家さんに話を聞きたい

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祖父の話によると、隣の集落である浅ヶ部地区スイカを作っている人がいるらしい。

調べると浅ヶ部地区は家から1.8kmほどの距離だった。

徒歩で32分。さっそく突撃取材に行こう。

 

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考えうる限りの田舎フォーマルな格好で出掛けることにした

上下作業着、革靴、クリップボード、職場の名刺を入れた名札。

僕はこれを町役場スタイルと呼んでいる。

この服装で歩いているとしょっちゅう「役場の方ですか」と聞かれるから。

まあ、これなら問題無いだろう。

 

道が狭いから車で行かない方がいい、とは祖父からのアドバイス。

僕のドライビングテクニックは仮免の検定試験で脱輪するほど

一車線でのすれ違いなんて、考えただけで身の毛がよだつ。

大人しく歩いて行く事にした。

 

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暑い!

この日の気温は26度予報だったが、体感では30度はある。

500mほど歩いただけで汗だくになった。

そうかあ…夏に徒歩で移動すると汗をかくのか…。

 

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昔から短絡的で想像力が微塵もない

クレカの請求がバイトの月給を超えたり、車のエンジンオイルを空にして走っていたり、部屋を散らかし放題にしてアリ・ゴキブリ御殿にしたり

分かりやすい形にならないと問題に気づかないのだ。

 

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光くしゃみ反射体質なので、上を向いて自分撮りするとクシャミがでた。

完全にアホの子。毎日楽しくて仕方ない。

あと、顔のパーツが全部でかい

 

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5分ちょっと歩くと、絵に描いたような田舎の風景!

高千穂近辺の人は僕が住んでいる高千穂三田井地区のことを「町」と呼ぶ。

これが町かあ…釈然としない気持ちを抱えていたがこれなら納得だ。

 

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陽が射すなか2時間歩き続け、すれ違った3人の方に話を聞いたところ

 

「この地区には専業でスイカを作っている人はいない」

スイカの名産地熊本が隣の県だからお金にならない」

「スイカ農家は知らない」

 

とのこと。

 

スイカの専業農家はいないということが分かった。

趣味程度に数個作って親戚隣人に配るような人が少しいるだけらしい。

 

高千穂は山間部で大規模な農業に向いておらず、それだけで食べていくのは難しい

そういった理由で兼業農家が多いが、兼業農家は仕事が休みになる土日が一番忙しいのだ

取材日は土曜。

農作業をしている人を何人か見つけたが、話しかけられなかった

 

突然インターホンを押して

 

ダンダンダン

すみませーん!

スイカやってますかー!

スイカ割りについてどう思いますかー!!

 

ここまでやると狂人の域である。それは人の道を外れている

人に迷惑をかけないのがモットー。別の方法を模索しよう。

 

昼休憩

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午前中歩きっぱなしで疲れてしまった。

神社に戻って炊事場でお昼ごはんを食べていると、祖父宛にお中元が届いた。

開けてみるとなんとスイカ

ニアピンだ…。思いが神様に通じたか。

なんともありがたい話である。

 

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小ぶりのかわいいスイカだ。嬉しくて記念撮影をした。

思いっきり作り笑いをしたらイザナミの面のごとし。

 

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イザナミ

 

諦めず昼からも頑張ろう

小規模でも、今現在スイカを育てている農家さんは一人くらい捕まるはずだ。

 

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観光協会

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町のことは観光協会に行って聞くのが一番いい。

高千穂バスセンターのすぐ近く、まちなか観光案内所へ行ってきた。

 

くぼた「スイカ農家の方を探しているのですが…」

 

職員さんはキーボードを打つ手を止め、真面目に話を聞いてくれた。

そして、地元のJAに確認をとってもらえることに。待つこと10分。

 

「個人で作っている人はいるんだろうけど、JAに出荷しているところはない。

取引しているところがないので実態が分からない。」

「町中の物産センターにスイカを置いているが、それは高千穂産ではなく熊本の宇城から仕入れているもの」

 

ようは、わからないとのことだった。

申し訳無さそうに、物産センターかJAに直接話を聞いてみることを勧められる。

 

こちらこそ申し訳ない。

丁寧に対応してくれた職員さんに感謝しつつ、案内所を後にした。

 

がまだせ市場内 直売所「鬼八の蔵」

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まちなかのおみやげ売り場、がまだせ市場。

町中に人を集めよう!ということで作られた場所である。

「がまだせ」は「元気出せ」という意味の方言。

 

お客さんが途切れたタイミングを見計らって店員のお姉さんに話しかける。

 

くぼた「スイカ農家さんに話が聞きたいのですが…」

店員さん「話は聞いています!わかりました!」

 

観光協会から連絡が入っていたので話が早い。

 

店員さん「直接農産物を仕入れている方々に電話してみます」

店員さん「(電話)○○さん?取材したいっていう人が来てるんですけど、

今日はどうですか…そうですかー、ありがとうございます。」

 

一人目は土曜・日曜とも作業が忙しいとNG。

 

ところでおっと、話が大きくなってきた。

個人的な疑問の解消がしたいだけなので、取材と伝えられるとドキッとする。

やってくるのは新聞記者でもテレビでもなく、アホの子ただ一人だ

 

くぼた「すみません、趣味でやってるだけなので冗談の分かる方でお願いします…」

 

ワガママ

モットーの迷惑をかけないはどうした。

趣味でやってると発したとき、店員さんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。

 

今度からは時効警察オダギリジョーみたいな感じです」と付け加えようと思った。

時効警察 2006年の連続ドラマ

オダギリジョー演じる警察官が“趣味で”時効になった事件の真相を追う

 

「もうちょっと当たってみます」と3人目、お姉さん必死の交渉。

結果スイカを育てているおじさん電話取材の許可を得る!

ありがとうございます。僕は一人じゃなかった。

 

ーーお忙しいところありがとうございます

スイカって、いつ収獲できるようになるんですか

おじさん「この辺では、お盆に収穫できるように植えるね」

 

ーーいつ植えですか

おじさん「2月か3月かな」 

 

ーーなるほどですねー。

もう一つ…質問があるんですけど「スイカ割り」ってどう思います?半年かけて育てたスイカを叩き割られて…

おじさん綺麗に割り切れたら気持ちいいね

熟れてないとなかなか割れんっちゃ」

 

ーーそうなんですね!というと…

不快ではなく、楽しんでくれれば良いという感じですか

「そうね」

 

ーー最後なんですけど、スイカ泥棒って今もいます?

 「最近は見らんねえ…

 昔は子どもがよくやってたけど

 

ーーおとうさんも子どものころ、盗みました?

「うちは家で作ってたからやらんかったね」

 

ーーはっはっは。そりゃそうですね。

「またスイカできたら物産センターに卸すから楽しみにしといて!」

 

ーーお忙しいところありがとうございました!

 

引き出した…!

農家さんも綺麗に割れたら嬉しいんだ!ああ、すっきりした。

皆、これからは心置き無くスイカ割りを楽しんでいいぞ。

 

そして、スイカを育てている家の子どもはスイカ泥棒しない 

一生役に立たない知識がまた増えた。

 

「言われてみたら確かに疑問やね」と話を聞いていた店員のお姉さん

はい、そんなことばっかり考えて生きてきたんです。

ご協力ありがとうございました。

 

おわりに

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神社に戻って祖父に報告をする。

「結局、浅ヶ部ではスイカを見られなかったです。

そもそもどれか分からなくて。

 

そりゃいかんわ、とのことで浅ヶ部地区を案内してもらえることになった。

 

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これがスイカらしい。はじめて知った。

どんなものかも分かっていないのに取材しようとしていた自分が怖い。

 

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実はまだ大きくなっていなかった。

こんなに小さい赤ちゃんスイカがお盆頃には大きくなるんだ。

そして、叩き割られる。農家さんは微笑みながら見守る。

スイカの一生。

 

割った後、綺麗に食べてあげるのは僕たちの義務である。

(了)

 

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