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アレグロ・コン・フォーコ

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もしも私が大仏ならば、アリが柱をくぐるだろう

バカ

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記事中頃、仏像になる。

 

奈良の大仏が安置されている東大寺大仏堂には、大仏の鼻の穴と同じ大きさの穴が開いた柱がある。子供はくぐれるが大人は少ししんどい大きさのその穴は、くぐると無病息災の効果があるとされており人気の撮影・体験スポットになっている。

 

「もし私がこの背丈のまま仏像になり、柱に鼻の穴と同じ大きさの穴が開けられたならばアリがくぐるのに調度良いものになるのではないか」


 

まずは東大寺

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写真に自分を入れないことをおぼえた

 

資料集めのために東大寺へと向かった。やはり奈良は外国人の観光客が多い。比率が日本人と半々くらいではないか。京都よりも外国人比率が高く見える。単純に日本人観光客が少ないのかもしれない。憶測の域を出ないが。

 

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大仏殿。社会的地位の高そうな人が芝生に立ち入っていた。

 

大仏殿の拝観料500円を払いいざ参らん。高齢者のグループに観光案内をしているおばちゃんがこんなことを言っていた。「こちらが本日のメーンでございます。皆さんのお家よりも少し大きいかもしれません。」 少し遠くで聞いている私だけが声を出して笑った。おばちゃんと目が合う。目をそらす。今のギャグはネタ帳に書き込んでおこう。

 

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賓頭盧像。いわゆるなで仏。

 

仏殿前には賓頭盧(びんずる)さんがいる。彼は司祭者階級出身で神通力と説法に通じていて獅子吼第一と呼ばれていた。*獅子吼=ライオンが他の獣を怖れさせるような、優れた仏陀の説法。

仏像には病人が患っている部分と同じ箇所を撫でると治るという信仰があり、ここから「撫で仏」の信仰が生まれたそうだ。撫でられている仏様を見たら賓頭盧さんと思えばいい。

 

しかし安置されている位置が高くて足しか触れない。足の部分だけ撫でられすぎてテカテカになっていた。

 

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神々しい。でも仏様か。いや本地垂迹が…。

 

入堂。細目で穏やかな表情をしている。

今でこそ高層建築があるので大きさに驚きはしないのだが、造られたときにはこんなに大きなものが他に少なかったのだろう。だからこそ信仰対象でありえた。

東京タワーがあるから、スカイツリーがあるから、現代人は大仏を見に行かない。

 

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件の穴

 

穴のサイズは縦37cm×横30cm。列に並びながら見ていると子供はするするっと抜けていく。通り抜けた子供たちは楽しそうにはしゃいでいた。柱という別の世界に入り、穴を抜けて成長し元の世界に戻ってくる。ビルドゥングスロマンだ。

 

大人は引っ張ってもらわないとなかなか難しいようだ。体が細い割に肩幅が広い私、もしかしたらひっかかるんじゃないだろうか。

混雑を招くため写真撮影のチャンスは1回のみ。いけるのか。引っ張り係にも来てもらうんだった。

 

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キュウウウウ

 

イメージトレーニングを入念にした。

写真を改めて見て思うが、片腕だけを挙げたほうが細くなったんじゃないか。賓頭盧さんの頭を無理にでも撫でておく必要があったな。

そして案の定…

 

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いたいー

 

通れなかった。どうやら大きくなりすぎたようだ。あいたたた、肩と背中が痛い。

そもそも無病息災に興味なんて無いのだ。昔の人は背が小さいから通れたんだ。

でも資料はもう十分だ。奈良のダイソーで使えそうなものを買って家に帰った。

 

大仏になろう

実物を見て創造性を刺激された。私も鼻孔の大きさの穴を柱を開けてアリの子どもたちを笑顔にしたい。まずは大仏にならねば。

 

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まりもの代用品に!30個108円!

 

まずは手芸用のぼんぼんを糸で繋げる。これを仏様で螺髪を再現する。

wikipediaによると東大寺の大仏は966個の螺髪を持っているそうだ。それにちなんで96個のぼんぼんを使うことにした。

 

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つなげて芋虫のようにする。玉結びを習っていて良かった。

 

10分ちょっとで全部つなぎ終わったので、これを紺色の水泳帽に貼り付ける。

白だと隙間が見えたとき禿げているように見えるので紺か黒が良いだろう。

 

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ボンドもダイソーで買える

 

かぶった状態で貼り付けないと素材が伸びた時に外れてしまう。

そう予想して上の写真のような格好で貼り付けることにした。

この日、ボンドが温かいいことを知った。螺髪の塊を帽子に押し付けて数分待つ。

 

工作が得意な人は予測できたかもしれないが、木工用ボンドで螺髪はくっつかなかった。木工要素が一つもないからだ。

ちくちくちくちく糸で縫い付けて…仏像が出来上がった。

 

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おでこにはデコシールを貼り付けた。デコだけに。

 

クビは肌荒れが酷いので塗らなかった。でも仏といえば裸に布だ。

ちなみに水彩用絵の具で塗ったが、下地をしっかり塗っていたので顔にはあまりダメージがいってないはず。2日経ってもどうもない。

 

手前味噌だが700円にしてはよくできてると思う。

 

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穏やかな表情を完コピ

 

せっかくなので縦長の写真も用意した。

さあ、鼻の穴の大きさを測ってアリちゃんをお迎えにいこうか。

仏像のメイクをした大学生が鼻の穴の大きさを測っている写真はまだネットに無いはず。

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靴下にゃんこの定規で測る。

 

夜の公園にやってきた。半裸だと捕まるのでシャツを着て。

ファッションのことはわからないけど、モード系ってこういうのでしょ

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良い写真がいっぱい撮れた。あ、そうかアリか。すっかり忘れていた。

 

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誰も公園に来なくてよかった

 

虫ってこういう木の下にいるんだよね。一回生のときに環境論で習った。

木は固定されていて持ち上げられなかった。

 

アリは探せども探せども見つからない。そんな折、無意識からのメッセージを受信する。

生き物で遊ぶような記事を仏様はお赦しになられるだろうか。お望みになられただろうか。

そう、こんなのきっと望んでいないはずだ。もう帰ろう。

 

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直径約1cm

 

帰って、魚肉ソーセージの柱に鼻の穴と同じくらいの大きさの穴を開ける。

穴に向かって歩くアリを描いてみた。

この写真を撮影するために本来やらなくてもいいことをたくさんした。

本当は仏にならなくてもいいし、もっと言えば東大寺を見に行く必要もない。

でもこの写真には私の大事な経験がたくさん詰まっている。

ありがとう毘盧遮那仏さん。命の大切さを学んだ。

 

本記事は私のビルドゥングスロマン、成長物語である。

 

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ストールは母の日のプレゼントに流用した

 

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